フィールドワークによる地域資源を把握する活動をします。

トップフィールドワークトップ糸島の仏像を訪ねて(part3)
糸島の仏像を訪ねて 〜特に、国や県が指定した文化財〜
今回は最終回として、糸島半島の仏像を中心に、その地域の特色などもまじえて紹介させて戴きます。 なお、仏像は大切に保管されており、感謝の気持ちとマナーを守って訪ねて戴くことをお願いしたいと思います。
~可也山を挟んで二つの平安仏像~
糸島を訪れると、糸島富士あるいは小富士ともいわれる独立峰の可也山(標高365m)をほとんどのところから望むことができます。古くは万葉集にもこの山を詠んだ歌が散見されますし、糸島のシンボルともいえます。この山の南西側の裾野に浄土宗の御床(みとこ)西林寺(さいりんじ)があり、国指定重要文化財の阿弥陀如来像が安置されています。可也山を挟んで真後ろの北東側に虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)を祀るお堂があり、そこに県指定文化財の十一面観音菩薩が祀られています。
~歴史の流れと阿弥陀如来像~
天智天皇の発願による大宰府観世音寺が奈良時代に完成しました。ご本尊となる阿弥陀如来像は、言伝えによると唐からはるばる運搬され、糸島の地に陸揚げし、一時、西林寺(さいりんじ)に安座、その後、観世音寺に移されたということです。なお、西林寺は筑前国続風土記(ちくぜんこくしょくふどき)によると観世音寺の四十九院の一つとして存在し、昔から関わりが深かったことが示唆されます。 現在の御床西林寺(みとこさいりんじ)にある木造阿弥陀如来坐像は、平安時代後期の作で像高108cm、死者を浄土に誘う来迎印(らいごういん)を結んでいます。大正時代に大幅な修復がなされたそうで、金箔の落ち着いた輝きの中に慈悲に満ちた優しいお顔をされています。大正3年に国重要文化財の指定を受けています。
~御床のいわれとなった台座が残る~
志摩町には御床(みとこ)という地名があります。この地名のいわれは、観世音寺に阿弥陀如来像は移送されましたが、仏像の台座の下敷きにした鉄の板は残り、これが御床の地名になったそうです。現在、御床西林寺境内の仏堂には阿弥陀如来像が蓮華座に結跏趺(けっかふ)坐(ざ)し、その下の床鉄は、茶褐色の多孔質状の平坦な鉄塊(凡そ広さ1.5㎡、厚さ5cm程度)となっています。
御床西林寺
御床西林寺境内の阿弥陀如来像
~住民29戸の熱い思いが結集した仏堂の建設~
親山(おやま)地区には、昔から住民のみなさんが“虚空蔵(こくうぞう)様(さま)”と親しんできた仏像を始め、幾つかのみ仏が可也山中腹の虚空蔵堂に祀られ、住民の心のよりどころになっているそうです。 これらの仏像のうち、十一面観音像は昔から大変立派な仏像と伝えられ、九州歴史資料館で鑑定、修復したところ、平安時代後期の作りで文化財としての価値が高く、平成11年に県文化財指定を受けたとのことです。 これが契機となり、仏像を安置する新しいお堂を建てることになり、この地区の住民の方々(29戸)がまとまり、その建築資金を毎月積立て、県および志摩町からの補助金と合わせて、また、親山の森林組合が保有する山林の木材を使用して平成15年に完成したとのことです。自分達の地域は自らが守るとの熱い気概が感じられ、現代では希薄になった地域の在るべき姿の原型をみる思いがします。
~平成11年に文化財となった十一面観音像~
文化財の指定を受けた十一面観音菩像はやさしい静かなお顔をされ、頭上には十一面のいろんな表情のお顔を乗せた等身大(171cm)の一木造りです。左手には蓮(はす)のつぼみを差入れた水瓶(すいびょう)を持ち、肩からは天衣が微かにたなびきながら垂れています。平安後期のこの像の彫りは、衣文(えもん)も身体を覆う薄布に模様がついたように浅く、また腰の張りも少なく、ほんとにすらりと立たれています。Part 1で紹介しました浮嶽神社の平安仏三体は、平安前期の典型的な作風で衣文の彫りは深く、量感的で力強く、この像とは大きく対比されます。 新築のお堂には、ご本尊の虚空蔵菩薩像(無限の知恵や記憶力を与えてくれる菩薩)や大日如来像(密教の主尊)も収蔵されています。昔、ここは天台密教の信仰があったとのことです。
現代は仏像ブームといわれ、古寺巡礼の方々も多く、また名刹・古刹に伝わるみ仏たちの特別展も各地で開催されております。このような中、糸島にはどのような仏像が存在するのか、少し調べましたところ、寺院やお御堂の数を遥かに上回る沢山の仏像があることが判りました。 今回は一つの目安として文化財指定を受けた仏像に焦点を合わせ、国指定および県指定文化財の仏像を取り上げてみました。それだけでも6寺院1神社に十二体の仏像が大切に安置されていました。とても簡単にご紹介できるものではありません。そこで大変非礼かとは存じましたが、各仏像が有する表面的な特徴や昔からの伝説・いわれなど、また各寺院の歴史的な背景などをまじえながらご紹介させて戴きました。
(文責:T.S)

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